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四日目のゼクシィでお見合い結婚

家族
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30年近く昔の話です。日曜日に妻とお見合いで初めて出会い、三日後の水曜日にまた会うことにしました。出会って四日目です。

私が何度か行ったことのある、安いフグ料理の店に連れていきました。

そこで席に着くなり彼女のカバンから飛び出したのが、ゼクシィ!

初対面の印象がよかったので、早々に再度会うことにしたわけですが、さすがに引きました。なぜそこまで爆進モードに入っているんだか。すぐ死んでしまう蝉じゃないんだし、もうちょっとお互い探りを入れて慎重にいきませんか。

まあ、私を気に入ってくれていることがわかって嬉しかったことは事実です。

かくいう私も気に入っていたので、お互いがピンときた、あるいは、ビビビッときた、ということでしょう。

辻村深月さんの小説「傲慢と善良」によると、「ピンとくる」のは、自分が自分につけている自己評価に見合った、あるいはそれ以上の相手だと思えた場合だそうです。そうだとすると、「ピン」は人間の価値観の世界で通用している感覚でしょう。

「ビビビッときた」、というのは、昔、松田聖子さんが発したことで「ビビビ婚」と言われたりしましたが、こちらは人間の価値観というよりは、生物的な感覚のようです。体の中の遺伝子レベルでおこる感覚。人間の場合だと、お互いの23本のDNA同士が、46本になるべく共鳴するとでもいうところでしょうか。

鳩の求愛行動で、オス鳩が首を伸び縮みさせて、メス鳩を追いかけているのをよく見かけますが、このときのメス鳩は、オス鳩の動きをよく見て、「ビビビッ」とくるかどうかを見極めているのではないでしょうか。自分にとってよい遺伝子をもっているオスなのかどうか。

確か、松田聖子さんは「ビビビッ」から2か月足らずで結婚し、それから2年待たずして離婚されていたので、生涯同じペアで過ごす鳩の「ビビビッ」と同じではなかったようです。

私と妻の場合が「ピン」なのか「聖子ビビビッ」なのか、それとも「鳩ビビビッ」だったのかは、お互い確認していませんが、8月に出会って翌年の3月に結婚することになりました。それから25年以上続いていて、子どもたちもそれなりに手が離れていきましたので、「鳩ビビビッ」だったのかもしれません。

歳の差があるので、十中八九、私が先に死にますが、「四日目のゼクシィ」だった妻が「八日目の蝉」にならないように、残りの人生も思い出をたくさん作っていこうと思います。

妻は社交的なので、そんな心配無用、と言われそうな気もしますが。

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