免震構造の八代市役所が熊本地震で被災

思惟

先日発生した令和8年熊本地震で、免震構造の八代市役所が被災しました。私が知る限り、免震構造でここまで損傷した事例はあまり聞いたことがありません。今後の地震対策の在り方について、多くの知見を発信する事例となるでしょう。

大きな地殻変動が発生

八代市の震度は6強となっていますが、国土地理院の発表では、今回活動した日奈久断層帯に近い八代市の千丁というところで、北東方向に約87㎝、沈降約32㎝の地殻変動が観測されたそうです。能登地震の際に発生した4m隆起に比べれば小さく感じますが、地面が1m近く動くというのは大きな数値であることに違いはありません。

この千丁というところから約3~4㎞南西に離れたところに、今回被災した八代市役所があります。千丁と市役所は、日奈久断層帯と同じような位置関係にありますので、市役所付近でも相当大きな地殻変動があったと推定されます。

免震構造だからといって被災しないわけではない

この市役所は、旧庁舎が平成28年熊本地震で被災したため、建て替えられて2022年に完成した築4年の庁舎で、免震構造が採用されています。

その免震構造部材が今回の地震で損傷したため、庁舎の安全性が担保できないと市長が会見をして話題になっています。

タワーマンションなどで免震構造が採用されて、地震時の安心をアピールする広告を耳にすることが多くなり、免震構造は身近になりました。これが誤解を招きやすいのかもしれませんが、免震構造であれば、どんな大地震でも損傷しないということではありません。震度7に耐えられると一言で言いますが、地震に震度8はないので、どんな震度7の地震にも対応しているわけではありません。あくまで設計で想定している範囲の最大地震に対して、建物を倒壊させずに人命を守れるようにつくられています。

免震構造の概要

八代市役所で採用されているのは、基礎部分に免震部材を配置する基礎免震構造になります。地盤に接する基礎と上部の建物を免震部材で縁を切って、地盤の揺れを建物に伝わりにくくする構造です。

免震部材のメインとなる部材は、積層ゴムといって鉄板とゴムを交互にミルフィーユ状に何層も重ねた装置です。通常は建物の重さを支えていますが、地震の際は横方向に大きく変形することで地盤の動きを減衰させて建物の揺れを抑え、地震後は元の形状に復元して動いた建物を元の位置に戻す役割をします。

もう一つはダンパーと言いますが、よく使われているのは鉄製で、動き始めた建物のエネルギーを、鋼材の変形によって熱エネルギーに変換して揺れを鎮める役割をしています。

今回公開されている写真では、この鋼製ダンバーが大きく変形していました。これは、大地震を受けた場合の挙動としては設計通りで、鉄が塑性変形(元に戻らない変形)をすることで、大きくエネルギーを吸収したことを表しています。

設計上の最大地震を受けたときに、一般的に免震建物は免震装置のある階で50~70㎝ほど横に動きます。この時に、地盤側の構造物に接触することがないように、それ以上のクリアランスが確保されています。

しかし、それよりも大きな地震を受けると、積層ゴムがもっと大きく変形をして建物が地盤側にぶつかってしまい、ゴムが変形の限界を超えてしまった場合は、建物を元の位置に戻せなくなります。どうやら八代市役所はそのような状況になっているように見えます。

報道の映像を見ると、建物側の階段の壁が壊れたりしていましたので、おそらく設計上のクリアランスを超えて建物が横に動いたことで、構造物同士の接触が起こったのだと想定されます。

近傍で地殻変動が87cmあったということです。市役所のクリアランスが70cm程度だったと仮定した場合、地盤側が87cm動くと当然建物にぶつかってしまうことになります。実際の建物の動きはそんなに単純な計算で表すことはできないのですが、ぶつかってもおかしくないほど地盤が大きな動きをしたとはいえると思います。

免震構造が被災して損傷した場合

また、免震構造は、何度も大地震に耐えられるようになっているわけではありません。大地震で、前述のように元に戻らない大きな変形をした部材は、取り換えることができるようになっていて、ジャッキ等を使って建物を元の位置に戻して交換を行います。

ただ、交換部材は汎用品ではないので、すぐには調達できず、取り換え工事も時間がかかります。それまでの間は予定していた免震性能を発揮することができません。当面は震度7クラスが想定されている八代市で、庁舎の使用を停止するという市長の判断は適切だと思います。

防災拠点施設に投げかけられた課題

今回のこの被災は、防災拠点機能として免震構造を採用している公共施設等へ課題を投げかけることになりそうです。通常、こういう重要施設は、被災しても使い続けられるように、構造的な安全率を高く設定して設計します。おそらく八代市役所の設計もそうなっていたはずです。それでも防災拠点機能を果たすことができないほどに被災してしまいました。

全国の免震構造の公共施設管理者は、今回の経験を踏まえて、免震であっても被災する場合があることを想定内に入れると同時に、被災した場合の対応について準備しておく必要がありそうです。

また、これから新築する場合には、構造設計上の安全率を、もう少し高める必要があるか検討が必要でしょう。これについてはコストアップを伴いますので、「はい、そうしましょう」という簡単な話ではありません。

リスク資産 種類元本(円)現保有額(円)損益(円)損益計(円)
FX~機械的デイトレード2,500,0002,383,867-116,133-74,584
FX~高スワップ狙いトルコリラ保有450,000539,16089,160
Vポイント投資信託
HSBCインドインフラ株式オープン
345,363342,613-2,750
仮想通貨(ルナクラシック)80,00035,139-44,861

退職まで731日  実労働日401日

タイトルとURLをコピーしました